医療コラム

”ウナギで夏バテ予防”は迷信?本当?

2016年7 月20日
管理栄養士 中居有紀

 

九州・近畿・東海地方などが梅雨明けしました。比較的平年並みのようで、関東も平年並みならもう梅雨明け間近です。
そして早々にやってくる、土用の丑の日、今年は7月30日(土)。

丑の日と言えば、みんな思い浮かぶ“ウナギ”、
栄養指導の席でも「大好き」と言う方がたくさんです。
今年は例年よりも少し安くなるという噂も…?

巷で言われている通り、ウナギは暑さや夏バテを乗り切るだけの栄養がたくさんです。
今月のコラムでは、この『ウナギ』がテーマです。

 

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200年以上前から丑の日にウナギを食べていた。
土用の丑の日にウナギを食べる習慣になったのは、安永・天明の頃(1772?1788年)と考えられています。
もとはなんと、エレキテルを発明した平賀源内が、「土用の丑の日にはウナギを食べよう」と提案したのが始まりと云われています。商売に行き詰ったとあるウナギ屋が平賀源内に相談したところ、店先に「本日丑の日」の貼り紙をすることを勧めたのだとか。当時「丑の日に『う』のつく物を食べれば夏に強い体になる」という風習があり、やがて他のウナギ屋もこれを真似ていくようになり、この風習が広まっていったようです。



ウナギの栄養
 

■ビタミンB1

夏バテと言えばビタミンB とも言えるほど、夏に必要な栄養素がビタミンB
炭水化物をエネルギーに変換する働きがあるうえ、疲れを感じる原因と言われる「乳酸」が体にたまるのを予防してくれます。
このため疲労回復のビタミンとも呼ばれるビタミンB 、これがウナギ1切(150g)あたりに、1日に必要な量の7?9割程度も含まれています。かなり効率の良いビタミンB 摂取源!
さらに「硫化アリル」を多く含む玉ねぎ・ニラ・ニンニクと合せて摂ると、より吸収が高まります。ウナギとニラの炒め物、ウナギと玉ねぎのだし醤油煮なども相性◎。

■ビタミンA

ウナギにはビタミンAがたっぷり含まれていることも有名。
飛びぬけて多くビタミンAが含まれており、ウナギ1切の中に1日に必要なビタミンAの量の倍以上含まれています(ただし上限量の範囲内)。
粘膜や皮膚の乾燥を防いで風邪の予防に働いたり、夜盲症の予防、動脈硬化やガンの予防などに働くビタミンA。
ただし摂りすぎると体内に蓄積される性質があり、頭痛や吐き気などの過剰症につながるため、ウナギ蒲焼を食べても1切(150g)程度までを目安にしましょう。サプリメントを摂っている方も要注意。

■EPA・DHA
ウナギには、EPA・DHAも魚の中でトップクラスに多く含まれています。
“血液サラサラ”にすることで知られるEPAは、中性脂肪を減らすための医薬品としても利用されているほど。またDHAは脳や網膜などの神経系に多く含まれていることから、「DHAを食べると頭が良くなる」と言われたりもするようになりました。特に脳が作られる成長期の乳児には、DHAが役立つと考えられています。
ただしウナギにはコレステロールも多く含みます。だから高コレステロールの人は食べ過ぎ注意…ですが、高中性脂肪の人は、ウナギの“血液サラサラ”作用も期待しても良いかもしれません。

 

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ビタミンA、B1、そしてDHA・EPAに、コレステロール…
ウナギにあらゆる栄養素がたっぷり含まれているのは確かです。

来たる7月30日、土用丑の日。
ちょっと奮発してウナギでひと夏分のスタミナを補給してはどうでしょうか♪

 

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