医療コラム

 こどもの日の行事食 かしわ餅とちまき

2016年4月20日
管理栄養士 中居有紀

 


クリニック前を流れる”ゆどの川”の河川敷では、
黄色の眩しい菜の花が、毎日春風に揺られています。
スギ花粉のピークも過ぎ、春本番。



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さて来月5日は、こどもの日。
五月人形を飾ったリ鯉のぼりをあげ、また柏餅やちまきを食べて男の子のお祝いをする日として知られています。目的は、「子供の人格を重んじ、子供の幸福を図るとともに母に感謝する」として定められているそうですが、もともとは“健康を祈る日”だったのをご存じですか?


そこで今月のテーマは、柏餅やちまきと、健康との関わりについてです。

 

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端午の節句は、「無病息災」を祈る日だった。

5月5日は、現代では「こどもの日」として祝われますが、もともとは「端午の節句」にあたる日です。
端午の節句は、奈良時代から続いている伝統的な行事です。
この頃、朝廷では端午の節句に、現在も薬草・生薬として使われている菖蒲を飾り、無病息災を祈る行事でした。

これが鎌倉時代になると“菖蒲”と“尚武”をかけて尚武の節日として端午の節句を祝うようになり、菖蒲酒や菖蒲湯の風習も始まったようです。

さらに江戸時代になると端午の節句は民間でも多く真似られるようになり、こいのぼりも立てられるようになります。江戸時代の後期には、男の子の誕生を祝う“初節句”が盛大に行われるようになり、現代のこどもの日へと変化していきました。




江戸時代から、端午の節句には柏餅やちまきを食べていた。

端午の節句の行事食と言えば、ちまきや柏餅。
特に関東では柏餅が、関西ではちまきが親しまれていますが、この柏餅やちまきは江戸時代から既に、端午の節句で食べられていたそうです。

柏餅は、柏の葉が、新芽が出ないと古い葉が落ちないという特徴があるので、「子供が生まれるまでは親は死なない」「子孫繁栄」などの想いが込められ、端午の節句に食べるようになりました。年月とともに、塩餡が小豆餡に代わっていくなど柏餅そのものも少し変化したようです。

柏餅が日本で生まれた食べ物なのに対し、ちまきは中国に起源があります。
ちまきは遥か昔紀元前278年、中国の詩人・屈原の霊を弔うために作られた供物に由来していると考えられています。葉でもち米を包み、邪気を払う五色の糸で縛って川に流す…そんなことがちまきの始まりとなり、中国では5月5日にちまきを作って災いを除く風習となり、日本へ伝来したとされています。また、五色の糸は、魔よけの意味を込めて現代の鯉のぼりの吹き流しの色に反映されています。


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そんな柏餅やちまき、実際栄養学的には、どんな働きがあるのでしょうか?

 


<柏餅>
1個165kcal
炭水化物が多くて脂肪分が少なく、また銅と鉄の成分が比較的多く含まれています。165kcalというと、コンビニのおにぎりとほぼ同じくらいのカロリー量、しっかりとした栄養源です。成長を助けたり貧血予防にも働く銅や鉄分も多く含まれているため、実際子供の成長や子孫繁栄の成長にも役立つでしょう。
ただし栄養源であるだけに、糖尿病や太り気味の人は、1日1個までにしておきましょう。

<ちまき>
1個245kcal

245kcalは、ごはんをお茶碗に軽く1杯分程度。バナナ3本分にあたり、間食としては高カロリーです。柏餅と同じように炭水化物が多くて脂肪分が少なめ、他のビタミンなどの栄養素もかなり少なめです。
手軽にエネルギーをとりたい!という時にはオススメですが、やはりカロリーを抑えたい人は、ちまきを食べた時はごはんを少なくするなどの工夫をした方が良さそうです。

 

今年のこどもの日は、大人も子供も、ちまきや柏餅でますます元気になりますように。

 

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