医療コラム

サバの栄養


2018年10月
管理栄養士 中居 有紀

日増しに寒くなっていきます。
暑い時期を過ぎ、秋のお散歩を充実されている患者さんも多いようです。

先日の栄養指導では、ご夫婦で参加されているお二人が、
「毎日朝5時ごろに、お散歩しています。50分くらいかな。」…
と、お話しされていました。

これから寒くなってきますが、枕草子でも冬の早朝が称えられていたりして、
寒い時期の早朝散歩も、やってみれば案外とても贅沢な時間になります。





自然と楽しみながら、身体を活かしていきたいもの。
健康の三本柱は、『栄養・運動・休養』をバランスよく行うこと。

この時期、栄養の方では、血液の健康に働く“青魚”が旬を迎えているものが多く、動脈硬化や心疾患を持つ方は、特に魚を食べるのに適した時期です。

青魚といえば、サバ、アジ、サンマ、ブリ、サワラ、イワシなど。
おいしくて健康にもなる青魚を、今こそお楽しみください。

今月のテーマは、「秋サバは嫁に食わすな」でも知られる“秋サバ”について。




秋サバは、主にマサバを指します

いくつか種類のあるサバの中でも、『マサバ』が秋に旬を迎えます。
これが、先の諺にもある秋サバで、三陸沖、銚子沖など太平洋各地で水揚げされます。
一般的にも少し値段が高めで、『寒サバ』とも呼ばれます。

刺身や寿司種としても人気が高く、佐賀県の関サバや、三陸の金華サバなどの鯖ブランドがあります。
おいしいマサバは、目が透き通っていて、身の柄が濃く、お腹がぷっくり膨らんでいるものです。






サバの栄養


高脂血症治療や動脈硬化の治療薬にも使われているEPAやDHAが、青魚(の油)には豊富に含まれます。

EPA:エイコサペンタエン酸
体内でほとんど作ることができない「必須脂肪酸」の一種。
血管年齢を若く保ち、特に血栓ができにくくしたり、中性脂肪値を下げる働きがある。
サバのほか、こうなごやすけとうだらのすり身、辛子明太子にも多い。
また料理方法では、フライより焼き魚にした方が、EPAの減りが少ない。
グリーンランドに住むイヌイットに心臓病の割合が低いことから研究が進められ、効果が明らかになりました。

DHA:ドコサヘキサエン酸
EPAと同様に、「必須脂肪酸」の一種。
ヒトの脳の組織に豊富に存在して学習能力や記憶力を高める働きがあるため、成長期の子供の脳や、またアルツハイマー病などにおいても重要なものと考えられている。

カブト煮などで食べる目の裏のゼリー状の部分には、最も多くDHAが含まれている。
料理方法では、EPA同様、フライより焼き魚にした方が、DHAの減りが少ない。
サバの寿司やサバ水煮缶からも、手軽に豊富なDHAを摂取することが出来る。
サバのほか、ウナギや鮭にも多い。





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子どもにも大人にもうれしい働きを持つ、サバ。
おいしくて食べごろの今こそ、積極的に摂っていきましょう。